陶芸に触れて思うこと

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作陶に目覚めてまだ日が浅く、経験も少ないのですが、
歴史的な背景も含め、とても魅力を感じ、瞬くまにハ
マってしまいました。
また、初めての作陶で土に触れた時、幼い頃の泥んこ
遊びにも似たとても穏やかで暖かい土の感触に、懐か
しい記憶が自分の中に広がったことを思い出します。

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よく言われていることですが、『土は生きている。』
陶芸を初めて程なく、その片鱗をとても実感した言葉
として捕らえるようになりました。
私の場合、ロクロをひいている時にもっとも強く感じ
ますが、焼き上がった完成の後もまだその印象は消え
ません。

陶芸のある一つの魅力

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そうそう、一般的にはあまり知られていない陶芸の魅
力の1つにこんなのがあります。
焼成後、窯から作品を出した時におこる現象で、「チ
ン。チン。チン。」と、それは美しい音色を奏でるの
です。
想像力を逞しくすれば、その音色はとても幻想的な夢
心地を与えてくれることになるでしょう。

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では、何故そんなに美しい音が出るのでしょうか?
素焼きの素地に掛けられた釉薬が高温の窯の中で長時
間をかけ、さらに溶け出し、液化したガラス状に変化
するのですが、その後の窯出しでガラス質化した表面
が外気に触れ、一気に冷やされることで急激な硬化が
進み、素材との収縮率の違いから細かなひび割れをお
こします。
それぞれの陶器に、無数のひびが入る瞬間瞬間の音が
”美しい音色”の正体なのです。
この表面に入ったひび割れを「貫入(かんにゅう)」
と言いますが、多くの陶器に見られますので一度ご自
分の周りの器などを確認してみて下さい。
それと、この貫入に関してもう1つ興味深いことがあ
ります。
当然1時間程も経てば、貫入は収まってくるのですが、
この貫入が1年、2年後でさえも就寝前の静けさの中
では、ほんの微かな「ピン。」と言う1音を聞けるこ
とがあるのです。結構感動してしまいます。
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